コラム

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Vol.4

鳥取市周辺のまちづくり
鳥取大学地域学部 准教授 竹内 潔氏

これから私が調査等で関わっているところを紹介します。そのひとつが「鳥の劇場」です。鳥の劇場は、劇場の施設の名前であり、劇団の名前でもあります。演劇をしている人たちが、鳥取県の東側の鳥取市を拠点として、活動をしています。「鳥の劇場」がある地域は、鳥取市の中心部から少し離れた西部の町で、鹿野(しかの)といわれる地域です。
「鳥の劇場」は、統合をして使われなくなった小学校と幼稚園の施設を利用して、活動をしています。今から13年前の2006年に、東京からUターンで戻ってきた演劇人が、学校を借り受けて、活動を開始しました。
このような地域の施設を使って、自分たちの演劇をするだけではなく、地域のイベントとして演劇祭を大きく開催して、地域の人や地域外の人もたくさん集まっています。グラウンドが駐車場になっていて、人が大勢集まる地域の拠点の一つになっている場所です。
この劇団の活動は、自分たちでしたい演劇を作り込んで行うほかに、地域に展開する鳥の演劇祭も行っています。それから、演出家の方が講師になって、戯曲講座として、演劇の脚本の読み込みや作ることの講座を、地域の関心のある人たちのために行ってもいます。
最近、力を入れているのは、学校での演劇ワークショップです。演劇や演劇づくりで使われるワークショップや表現活動は、子どもたちの学習活動や人間的な成長にとって有効なのではないかとの考えのもと、学校教育の中に入り込んで行っています。

小学校自体が合併をする前の鹿野町には、三つの小学校があって、それが鹿野小学校として一つにまとまりました。小中学校が今まで以上に一体化をすることや、これは地域の人たちの声によって誕生した学校であるといったことから、地域の人たちの意見もとり入れながら、地域の独自科目である「表鷲科」(あらわしか)をつくりました。この名前には、地域のシンボルである鷲峰山(じゅうぼうざん)と「表す」という意味という言葉がかけ合わされたものです。地域の人が考えたこのカリキュラムの中に、演劇が入るようになりました。10年以上の活動をしてきたことで鳥の劇場は地域の人に受け入れられて、学校のカリキュラムの中にも入っているのです。また、演劇だけが特別なのではなくて、この地域は川柳も盛んで、それを行っている団体の方もいます。伝統工芸の菅笠づくりもあります。それを子どもたちに伝承をすることも目的とする科目としてつくられました。

鹿野地域では、まちづくりに関して独自の取り組みが、特に1990年頃から活発に行われていました。何とか地域を持続可能なものにしていこう、地域の誇りをしっかりと保っていこうと頑張っていたのが、鹿野地域になります。住民主体のまちづくりの機運が、劇団を受け入れる土壌となりました。そこに受け入れられた鳥の劇場は、芸術団体としての創造性を遺憾なく発揮して、教育にも貢献をしています。この二つが相乗効果になって、鹿野地域の魅力を高めて、人々を引きつけて、演劇祭などで外からも人を呼びます。子どもたちに対しても、鹿野で育ったことを誇りに思えるような地域づくりが、次のステージに行っています。
ここは一例で、他にも鳥取市にある、郷土の童話作家などをテーマにした施設である「わらべ館」や、鳥取の中部にある梨に関する記念館など、特色ある施設も受け入れ先として、検討をしています。ぜひ、鳥取の地域に興味をもってもらえたらと思います。

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